11日目
- 筆者
- 2022年5月6日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年9月28日
朝の様子はだいぶ良さそう。LINEビデオの映像のやり取りが不安定で細かい表情はつかめなかったが、声の感じがかなり元に戻って来ている様にも感じる。
この日、腰椎穿刺を控え朝ごはんを抜いていた。いつも通り朝ごはんを作って持って行っていたが、それを昼ごはんで食べることになった。新たにトマト、アスパラの肉巻きを入れてみた。
午前MRIの検査もあった。
11:00頃、リハビリでベットから起き上がり立つ練習をした。何とか両足で立つことができた。これは良い報告。歩く練習はこれからだが、歩けさえすれば普段の生活の質が大きく変わっていく。
14:00頃、主治医から着信。電話で説明を受けた。MRI等の検査をしたところ、狭窄部の原因は解離であると断定。今後は解離の原因を探る必要がある。若年の女性であり、高齢者等一般的な解離の要因は見当たらない。可能性として繊維筋性異形成を疑い、来週、腎臓の造影剤検査を行う。ということだった。
午後5時半ごろ、夕食の差入れのため病院に行った。検査の同意書等のサインをする必要もあり、主治医に病状説明を受けた。
まずMRIの画像。梗塞のあったあたりの白色化した領域を確認。前回の画像と比較して少し広がって、はっきりした形をしていた。血管の閉塞したところから末端まで白色化しており、今のところこれ以上梗塞が広がるようなこともないとのこと。もうこの部分で活動している脳細胞はもう無いという理解でいいのか確認したところ、無いということだった。
次は頭の横方向の断面。瞳付近の高さの状態を見る。解離の様子が確かに目視できる画像。血管断面の中にうっすらと血管中膜らしき白く細いものが見て取れた。この画像をもって、ここで解離があったために脳梗塞となったという診断だ。素人にも分かりやすい画像だった。
電話で説明のあった線維筋性異形成症。もしこの疾患が原因で解離があったのであれば、話が脳だけでは無く同程度の太さを持つ体中の動脈全般で起こりうるということになる。原因不明で、治療法は確立されていなく、各部位で対症療法をケースバイケースで施すという疾患である。さらに厄介な話になっていく。
奈津子自身、主治医に説明を受けているが、いまいち解離とか構造的な部分は理解できていないようである。もっとも、今自分がどう頑張るのかは理解している様なので、詳しく知る必要はないと言えばそうだ。この時点で線維筋性異形成について詳しく説明するのも現時点では憚られる。
ひとまず、原因が他にあっても線維筋性異形成を否定する必要はあるので、その確認に反対する理由はない。腎臓の検査に同意した。
当面、このまま薬物療法を続行し、リハビリを進めていくとのことだった。
連休で事務処理が進まなかった診断書がやっと出た。「アステローム血栓性脳梗塞」。期間はひとまずの1か月。典型的なアステローム型の脳梗塞であり、簡単に書くとこうなるだろう。来週、奈津子の職場に電話し、原本を送ることにする。

奈津子は徐々に、自由を失っていた右側の運動能力を獲得しつつある。あくびも以前のような大あくびになっていた。まだ左右差はあるが顔の表情もずいぶん良くなっている。
晩御飯は、ほうれん草、豚白菜巻き、ブロッコリーに加え、タイの切り身を固めに焼いて一口サイズにカットとしたものを入れた。頑張って完食したそうだ。
線維筋性異形成
閉塞性の末梢血管疾患の一種。線維筋性異形成は、通常は40~60歳の女性に発生する。原因は不明。おそらく遺伝的要素があり、喫煙は危険因子であると考えられている。線維筋性異形成は、特定の結合組織疾患( エーラス-ダンロス症候群、嚢胞性中膜壊死、 遺伝性腎炎、 神経線維腫症など)がある人でより多くみられる。
線維筋性異形成は、腎臓への動脈(腎動脈)、脳への動脈(頸動脈および頭蓋内動脈)、胃および腸への動脈(腹腔動脈および腸間膜動脈などの腹腔内動脈)、大動脈下部で枝分かれして脚につながる動脈(外腸骨動脈)に影響を及ぼすことがある。線維筋性異形成は複数の動脈で起こる場合もある。
線維筋性異形成は通常、その発生部位にかかわらず、症状を引き起こさない。症状が起きる場合、具体的な症状は場所によって異なる。
脚の動脈:脚の筋肉のうずくような痛み、けいれん、疲労感(跛行)、動脈の狭窄部を血液が通過することで起こる異常な音が聴診器で聴こえる(血管雑音)、大腿静脈の脈が弱くなる
腎動脈: 高血圧
頸動脈: 一過性脳虚血発作または 脳卒中の症状(発話困難、筋力低下、片側麻痺、視覚障害など)
頭蓋内動脈: 動脈瘤の症状(頭痛、眼の上および奥の痛み、しびれ、筋力低下、体の片側の麻痺、視覚障害など)
腹腔内動脈:嘔吐または腹痛(まれ)
腰椎穿刺
腰椎穿刺は、脳脊髄液という脳と脊髄の周りに溜まっている無色透明な液体を取るための検査。腰の位置から針を刺し、背骨の後ろにある脊柱管から脳脊髄液を採取する。脳脊髄液は脳や脊髄から出た成分を多く含んでいるため、その成分を調べることで、細菌や異常な細胞が含まれていないか、脳や脊髄の病気がないかを評価することが出来る。
診断画像
DWI 20220506 ![]() | FLAIR 20220506 ![]() | MRA3D 20220506 ![]() |


昼ご飯と晩ご飯の写真。朝ご飯は腰椎穿刺のため絶食した。やはりこの日、米飯は撮影していない。
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