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64日目

  • 執筆者の写真: 筆者
    筆者
  • 2022年6月28日
  • 読了時間: 7分

更新日:2022年10月16日

  • 私は5:50頃起床。体重63.70kg、体脂肪率17.1%。体重が少し増えている。

  • 奈津子は6:45起床。昨夜は21:30就寝。0:40にトイレに起き1:20に再就寝。6:45に起床した。

  • 奈津子の弁当を作るようになってからもうすぐ2ヵ月経つ。弁当を作るようになって私なりの気付きがあった。

  • 1つは葉物野菜って意外と便利なものなんだなと感じたこと。容器の中でバランやシリコンカップの様に使える。奈津子は一皿に複数の料理を盛ると「味が混じる」と言って嫌う。悪食の私自身は「そんなもんかね」とも思うが、基本的に奈津子の食性を尊重している。この辺りの農家は直売所なのでベビーリーフをよく売っている。しかし大きく育て過ぎていて「どの辺がベビーやねん」と突っ込みたくなるくらい葉が大きい。ほどほどの大きさのものを購入し弁当を作っていた。最近は暑くなったこともありプラント生産されたサラダ菜をスーパーで購入している。

  • 2つ目は、食用アルコール「パストリーゼ」の実力だ。これは、もともと奈津子がお菓子作りのために購入し使っていたもの。コロナ渦、この高濃度アルコールの恩恵に与ることも多い。奈津子の食事作りにおいても利用している。私の手による給食行為を止めてしまうと、奈津子のリハビリに影響が出る。絶対的に食あたりなどさせないという気概を持つが、100%の自信はない。怯えながら作っている。調理時、特に生のものを調理、盛付する際は切断面や容器にバシュっとパストリーゼをかける。

  • 私自身、パストリーゼを使っていたのは、手指消毒と冬場、自宅で自家製ベーコンを作る時くらいだった。塩漬けした豚のバラ肉を氷点下付近の外気にさらし1日2日乾燥させる。その際、様子見がてらベランダにつるしたバラ肉にパストリーゼをかける。こうすると表面は腐敗しないでバラ肉の鮮やかな色を保ちながら脱水できる。脱水が終わったら半日かけて燻製してベーコンが出来る。こうして出来たベーコンは奈津子の好物だった。

  • 私は経験上、食材を腐敗させない能力をパストリーゼが持っていることを知っていた。奈津子の弁当作りにおいては、個々の食材消費が本当に少ない。鶏のもも肉1枚買っても一回に調理するのはその1/5か1/4程度。切り出して残った食材を温存させるためにパストリーゼを多用した。塊肉、スライス肉、挽肉、魚、果実、野菜。切断面のある食材にパストリーゼを浸潤させ延命させる。魚もいい状態でパストリーゼを作用させると臭みが出ない。配合されたカテキン成分なのか、少しお茶っぽい香りがする。

  • こうして食材に防腐処理すると日持ちがする。感覚的には1.5倍くらいには余裕で伸びる。経験上、精肉や魚をおろすなど店舗側の調理段階であまり衛生的ではない場合は、その効果はあまり期待できないようだ。買ってきたものを目で見て匂いを嗅ぎ判別するしかない。

  • 奈津子に弁当を作るのが1日3食から2食になったが、その分、今までのペースで食材を消費しなくなった。加えてこのところ気温が上昇し、エアコンをかけ冷蔵庫内温度を最強にしても、とりわけ精肉に対し良くない状態である。どうしても奈津子の料理をする場合は、頻繁に冷蔵庫を開け閉めしてしまう。

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  • あと2か月程度は、暑い盛りに弁当を作り続けることになる。とりあえず肉類とキノコを奈津子サイズにして冷凍することにした。豚バラスライスは奈津子の食べるサイズに切っておいた。手羽中は半分だけ脱骨して食べやすい形に。魚、平茸とマッシュルーム、なども適当に食べられるサイズに分けて冷凍しておいた。パストリーゼ、料理酒、白だしなど、食材毎に使い分けて下味を付けた。鶏ひき肉だけは、つくね状にまとめフライパンで焼き冷凍した。これを照り焼きにすると奈津子が喜んだりする。味は落ちるがこうやってストックしたもので何とかする。生野菜、果実系は今まで通りの取り扱いをするしかない。冷蔵庫内をすっきりさせながら夏場の調理を維持して行く。

  • 奈津子は作業療法士にお風呂に独りで入れるのか確認してもらったそうだ。前の病院では、ほぼほぼ自力で入っていたのだが、物を取り出したり、髪をまとめたり、いくらか介助してもらっていた。そういったことも含めて本当に独りで入れるのかを確認したようだ。奈津子は「時間がかかって大変だった」と言っていたが、独りで入って良いと判断されたようだ。時間はかかるかもしれないが、良い作業療法だと思えば悪くない話である。疲れてしまうので2日に一度程度の入浴をしたいと奈津子は言っていた。

  • 足の装具は、病院の備品でいいものを借りることにしたそうだ。いろいろ病院にある装具を試してみたそうだが奈津子はこれが一番いいと言っていた。その中では一番高価らしい。製品サイトのリンクを奈津子に送って貰って見ていたが、なかかな活かしたデザインで、奈津子の歩行に最適な制限・制御が出来そうな形状だと私は思った。「これでいいんじゃないか」と。いくら高価でもこれを基本に装具を作ればいい。「今は一番必要なものを身に着けるべきだからね、何度作ったっていいんだ」と私は奈津子に言っていた。現状、他の入院患者には必要ない装具という位置づけで実質的貸与を受けたらしい。ありがたい話だ。これに出会ってなかったら多分私はまた奈津子の装具を自作していたと思う。


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  • この装具。足底や脛など足に近いところは樹脂で出来ている。くるぶし直上付近のヒンジでピッチング方向の動きをある程度許容し、入力を減衰させるアブソーバーも備えている。ローリング、ヨーイングは踵と足底形状とベルトによる拘束で抑制している。そして何より大事なのが23.5の普通の靴に入ることと、足底の高さが然程左足と変わらないことだ。慣れれば自然な足運びが再現出来るはずで、奈津子の機能回復にぴったりだと思った。

  • 歩行訓練では「電気を流しながら歩いた」と奈津子が言っていた。興味深いが「それでは分からんよ奈津子」と思う。「それってEMSとか鍼灸院の電気治療とかそんな感じ。どっちが近いの」「EMSかな」「一定間隔で電気が流れるの。もしかして筋電センサーで受けた電位を増幅してEMSで流してるの」「そんな感じ」。私はなんとなく理解した。それがそうならミラー効果による視覚による錯覚よりもっとリアリティーのある錯覚が得られる。一番違うのはイメージしたモーションのフィードバックが厳然と脳に送り込まれる事だ。私は少し感嘆した。

  • 私は大学受験を控えた高校2年生頃、メカトロニクスとか2足歩行ロボットとかそういったロボット制御工学に興味を持っていた時期がある。結果、まったく関係のない専攻を選んだので、知識はその時点から変わっていない。人に似せたロボットを作る際、人間の運動機能を出来る限り再現する。再現するには実際にどんな情報を筋肉に送っているのか測定する必要がある。その際に用いるのが筋電図と呼ばれる計測結果だ。筋電位を時系列で記録するグラフである。

  • 奈津子が使っているのはこの筋電図を取得し、リアクティブにその図を増幅した筋電位を当該部位に与える器具だと思われる。そう想像すると、私は少し感心してしまった。多分倍率だとか、上限値などの設定が出来る器具なのだ。

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  • 奈津子はそれを、ふくらはぎに取り付けて歩行訓練した。「力むと電気が走る」らしい。現状出力側もフィードバック側も多分神経回路の線が細い。いくら増幅しても本来のフィードバック量より少ないとは思うが、成長曲線の曲率、期待値は上がるはずだ。

  • 奈津子の顔はここ数日良い。一日の中で時系列変化がだんだん読み取りづらくなっているのか、見て取れるほど朝、昼、夜の違いがない。最近私が気にしているのは、左目の大きさ、目の周辺の形状、左眉の吊り上がり、左口角の吊り上がり、左頬のふくらみだ。基本左右差を気にする。

  • 左頬にずっとパイの実でも入れているかのようにぷっくりしているが、ここに変化があまり見られない。口角の高さの差異はこの1週間程度徐々に少なくなっているように思う。左目の状況も朝から良かった。眠れてはいるので転院前より表情がいい。いいにはいいが疲れているようなニュアンスも若干残っている。総論的にはいい方向には行っていると思う。

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リハビリ映像

奈津子の朝昼晩ご飯


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© 2022 Ambivalent Brain 奈津子の入院記録 

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